命に関わる仕事をしている人のためにこそ、台風の日に出社は控えるべきだ

命に関わる仕事をしている人のためにこそ、台風の日に出社は控えるべきだ

台風19号がTwitterのトレンドに入っている。

「台風で仕事は論外」「企業は従業員に対し明確な指示を出すように」そういった呼びかけは後を絶たない。

そして台風が来るたびに「台風で出社させる会社はブラック」だとか「命の危険があるのに仕事を優先するのは頭おかしいでしょ日本人」と声高に主張する人も少なくなくなってきた。

それは間違いではないのだけど、ぼくが同意できるのは半分程度だ。

中にはどうしても仕事を優先させなければならない人がいる。

命に関わる仕事をしている人については特に

安直に「出社するな」とは言えない

ぼくは20代後半の頃、技術者派遣で大手電力会社に勤務していた時期があった。

そこで勤務する前は「台風で出社する人間は一律におかしい」と信じて疑っていなかった。しかし、その考えはとても浅はかな考えだったと思い知らされる事になる。

ぼくが配属されたのは、問い合わせ窓口を総括・管理する部署だった。

各地にコールセンターが点在し、その応答率がモニターで表示されるのを見ながら、応答率が高いコールセンターは応答率が低いコールセンターのヘルプに入るよう指示を出す。社員の多くはそんなことをやっていた。

台風が来ることが報道されると打ち合わせが行われる。前日に誰が会社に残って、どのような連絡体制で対応を行うか。打ち合わせに参加する全員が大真面目に。

幸いと言うべきか、ぼくは技術の人間だったので泊まりがけで作業を行うことはなかった。むしろ出社するなと命じられたくらい。

それでも会社に残って仕事をすることになった社員は文字通り台風が去るまでの24時間体制で、神経をすり減らしながら仕事をすることになる。

台風が通過するまでは当然ながら問い合わせが殺到する。「電線が切れた」「停電した」「復旧の目処は」といった内容が押し寄せる。

それでも応答率を下げるわけにはいかない。一時的ではあっても中には電気が止まる=ライフラインが止まることと同義である人は少なからずいるからだ。命の危機を訴え、助けを必要としている彼らを放置するわけにはいかない。

命に関わる仕事をする人間を見てしまったからには、彼らに対して「明日台風だから出社するな」とは間違っても言えない。ぼくにはできない。

命に関わる仕事をしている人のためにも、出社は控えよう

巡り巡って命に関わらない仕事なら、納期を優先して出社する必要はない。

それでも出社しろというのなら、そんな会社は潰れてしまって構わない。

それよりも人命を優先して、人命を救う仕事をしている人のために席を譲ろう

それが社会人としてあるべき対応なのだと、ぼくは思う。