生き辛さを抱く全日本人に激推し!漫画『王様達のヴァイキング』を読もう。

生き辛さを抱く全日本人に激推し!漫画『王様達のヴァイキング』を読もう。

1巻からずっと大好きな漫画の最終巻が本日9/30日に発売した。

この機会を逃したらもう紹介することはないだろうと思うので紹介しておく。

タイトルは『王様達のヴァイキング』だ。

王様達のヴァイキング

2013年5月7日、浅草の取り壊し寸前のビデオ屋での“怪物”と“天使”の邂逅が、大航海の始まりだった。天涯孤独の天才ハッカー・是枝一希が、エンジェル投資家・坂井大輔に導かれ、数々のサイバー事件を解決していくうちに、信頼できる仲間を得て、才能を大きく開花させる、その成長の航跡を描く。

作品の見どころ

社会に生き辛さを感じるならぜひ読んでみてほしい作品。

主人公の是枝一希は高校を中退し、コンビニのアルバイトを3回クビになり、保護者も幼少の頃に蒸発したという若くしてヘビーな過去を持つ少年だ。

しかしハッキングの技術は卓抜していた。家にも学校にもバイト先にも彼の居場所はなかった。PCとインターネットだけが彼の居場所だった。

そんなある日、彼は世間への憂さ晴らしにサイバー攻撃を仕掛ける。

そこで彼の前に現れたのは警察ではなく、エンジェル投資家を名乗る酒井大輔という男だった。

酒井に導かれるように様々な人々と出会い、失敗をしながらも自分が生きていい理由を得るために一歩を踏み出していく。

そんな是枝は酒井との出会いを通じて巧妙化していくサイバー犯罪に対しハッキングの腕一本で立ち向かっていくことになる。

人と目を合わせて話すことができない。風呂が嫌い。身だしなみに気を遣えない。

世間一般の価値観では生きられない彼だが、仕事を通じて仲間達からの信頼を勝ち取り、獰猛なハッカーとして成長していく。

進路や職業の選択が自由だなんてことは子どもでも知っている事実だ。

しかしその実態は己の個性よりも統一的な思想・精神を尊重する姿勢こそ美徳だという風潮は未だ根強く、疲弊していく人間の何と多いことか。

実力や実績に対して適正な評価が得られない。報酬が不当に低い。周囲に馴染めない。

そういったケースはこと日本において枚挙に暇がない。

そんな人々にとって一般社会から落伍者の烙印を押されながらも卓抜したハッキングの腕のみで社会悪を象徴するような犯罪者達を反逆するかのように、容赦無く打ち砕く様は実に痛快に映ることだろう。

1巻で是枝とタッグを組むことになるエンジェル投資家・坂井大輔は自分を犯罪者だと卑下する是枝に対して『「ハッカー」ってのは、俺らの世界じゃ最高の褒め言葉だろ。』と言う。

人の価値を決める人は多種多様だ。

ハッカーとクラッカーの違いも分からず犯罪者だと一括りにする人もいるだろうし、その高い技術を正しく使えるなら最高じゃないか、と高い評価をする人もいるだろう。

大切なことは、自分が培った経験を評価しない人間とは付き合わないということ。

自分を活かす仕事や人は見つかるまで探し続けるしかないということ。

世界は広大で、残酷で、そして楽しい。

本作を通じて、そんな当たり前のことを改めて思い知った。